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厳格化される過半数代表者を選任する際の注意点

2019.01.22

 36協定の起算日を毎年4月1日としている企業は多く、来年度の届出に向けて36協定を作成、締結する時期が近づいています。近年、36協定を含む労使協定等の締結において、労働者の過半数代表者の適正な選出が行われていないとして指摘を受け、問題となるケースが増えています。2019年4月からは過半数代表者の要件がより明確化されることから、以下では過半数代表者を選任する際の注意点をとり上げます。

[1]2019年4月より明確化された過半数代表者の要件

過半数代表者の選任については労働基準法施行規則の第6条の2に定めがあり、現行においては以下の2つの要件を満たす者でなければならないとされています。

  • 労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと
  • 労働基準法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること

2019年4月より、2.の要件に「使用者の意向に基づき選出されたものではないこと」という要件が追加されます。この背景には、過半数代表者を選出するに当たり、会社が指名するなど不適正な取扱いがみられることがあります。

[2]過半数代表者の選出方法

過半数代表者を選出する方法としては、あらかじめ立候補者を募っておき、全員が集まる朝礼や会議の場で、複数の立候補者がいるときは従業員の投票で決定したり、立候補者が1人のときにはこの立候補者で良いかの信任投票をすることなどにより決定する方法が考えられます。全員が集まる場を活用することで、スムーズに選出できるでしょう。全員が集まる機会がなければ、掲示板で選出のお知らせを行った上で、一定の期間を設けて投票を行ってもらうことが考えられます。この場合は、すべての従業員が投票できるような仕組みとすることが重要です。

[3]過半数代表者を選出する際のよくある間違い

過半数代表者の要件は[1]の要件を満たす必要がありますが、過半数代表者の選出母数となる従業員について、よくある間違いがあります。それは、選出母数には、パートタイマーやアルバイトなどいわゆる非正規従業員も含み、さらに過半数代表者となることのできない管理監督者も含まれるということです。
選出にあたっては、選出母数の確認を行い、過半数労働者として選出されるために信任を得るべき労働者数を把握しておく必要があります。
36協定に関しては、締結だけでなく労働基準監督署への届出についても有効期間の起算日までに完了させておく必要があります。期限に間に合うように早めにとりかかりましょう。


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。