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確認の徹底が求められる育児休業の延長・再延長の申出理由

2019.08.06

育児・介護休業法では、一定の要件を満たした従業員は、子どもが1歳に達するまで、従業員が申し出た期間について、育児休業を取得することができるとしています。そして、子どもが1歳に達する時点で保育所等に入所できない等の理由があるときには、子どもが1歳6ヶ月に達するまで育児休業を延長することができ(延長)、さらに、子が1歳6ヶ月に達する時点で同様の理由があるときには、子どもが2歳に達するまで再度延長することができます(再延長)。今回、この延長・再延長時の理由について適切な取扱いをするよう、厚生労働省から周知されました。

1.育児休業の延長・再延長の理由

育児休業を延長・再延長するための理由には、保育所等に入所できないことや、育児をしている配偶者がケガや病気で育児をできなくなった場合等があります。この理由は、雇用の継続のために特に必要と認められる場合に限られ、例えば育児休業の延長を目的として、保育所等への入所の意思がないにも関わらず入所を申し込み、その保育所等に入れなかったことを理由として育児休業の延長を従業員が申し出ることは、育児・介護休業法に基づく育児休業の制度趣旨に合致しているとは言えず、育児休業の延長の要件を満たさないとされています。

2.内容の確認が重要となる「保育所入所保留通知書

保育所等の入所申込みを行い、落選したときにはこれを知らせる「保育所入所保留通知書」が従業員に届きます。この際、第一次申込みで保育所等の内定を受けたにもかかわらずこれを辞退し、第二次申込みで落選した場合には、「保育所入所保留通知書」にこうした事実が付記されることがあります(付記の有無等実際の運用は、自治体によって異なります)。
 こうした付記がある「保育所入所保留通知書」については、第一次申込みの内定辞退にやむを得ない理由がない場合には、育児休業を延長する要件を満たさないため、従業員は育児休業の延長の申出ができないことになります。そのため、会社は適正な手続きが行われているかを確認する必要が出てきます。
 なお、ここでいうやむを得ない理由とは、内定の辞退について申込み時点と内定した時点で住所や勤務場所等に変更があり、内定した保育所等に子どもを入所させることが困難であったこと等を指します。

3.育児休業給付金への影響

育児休業中に支給される雇用保険の育児休業給付金は、やむを得ない理由により育児休業を延長・再延長するときに引続き支給されるものであり、2.のような内定辞退の旨が付記された「保育所入所保留通知書」が提出された場合、ハローワークで、保育所等の内定を辞退した理由について確認が行われます。そして、確認に基づき、やむを得ない理由がない場合には、育児休業給付金は支給されません。

育児休業の延長・再延長の申出においては、その申出理由を確認することが今後重要になります。従業員には育児休業の延長・再延長の趣旨を、育児休業を取得する前からしっかりと伝えるようにしましょう。

参考リンク

厚生労働省「「育児休業」の延長を予定されている労働者・事業主の皆さまへ」

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。